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2013年4月10日水曜日

2. 電子音のメカニズム

(1)仕組み
電子音(コンピュータの音)は、時系列に変化するパルス符号と呼ばれる数値データ(PCM; Pulse Code Modulation)を、音源モジュールに入力することで振動により音波を発生させることで発音します。その音波が空気を媒介して鼓膜に刺激として伝わり、鼓膜に伝わった刺激が神経で電気信号に変換され、その電気信号が脳に伝わることで、人は「音」を認識します。

(2)音の属性
音には、「大きさ」と「高さ」という属性があります。
音の大きさは、音波の振幅の大きさによって決まります。
そして、音の高さは、音波の波形(交流波)パターンが1秒間に何回繰り返されたか=周波数(Hz)によって決まります。
最も基本的な音波の波形パターンは、サイン波(パルス波)と呼ばれる形状(下図)のものです。サイン波とは、その名の通り、sin(T)という計算式で求めることができる単純な波形です。

(3)音声品質
音声の品質は、パルス符号の大きさ(bitレート)、1秒間に送るデータ量(標本化周波数)、音波の数(チャネル数)によって決まります。
   bitレート
パルス符号の値が0の場合、音は無音になります。そして、0からの絶対値の大小が音の大小(振幅)ということになります。
なお、bitレートが高いほど大きい音が鳴らせるという訳ではありません。bitレートが高い場合、無音から最大音までの粒度が細かい音を鳴らすことができるようになります。
   標本化周波数
標本化周波数は、単位時間(1秒間)当たりに音波の標本化を行う回数(Hz)です。
   チャネル数
チャネル数は、音の発信源の数です。
一般的に1ch(モノラル)と2ch(ステレオ)の2種類が良く使われていますが、映画館で上映する映画の場合、3ch以上のチャネルを使用している場合があります。

正確には、振動を発生させる装置の抵抗の大きさ(インピーダンス)などの要素も影響しますが、音のデータとしての品質を決定する要素は、その3つです。

(4)VGSの音声品質
VGSの音声品質は、以下のように規定しました。
品質の構成要素VGSの仕様
bitレート16bit
標本化周波数22,050Hz
チャネル数1ch (モノラル)

音声の事に限らず、「最善」の品質の商品とは何でしょうか?

単純に「品質が高い商品である」と考えている方が居るかもしれません。
しかし、その考え方は、間違っています。重要なのは、何処の品質を重点的に求めるか=観点です。つまり、最善の品質の商品とは、“適切な観点”で品質が高い商品のことを指します。
要するに、最高の品質の商品は、最善の品質の商品ではありません。

ただし、仮に間違った観点で品質が高い商品があったとしても、その商品の利用者にとって、一見すると何ら不便は有りません。何故なら、必要な品質が確保されていなければ不便ですが、必要以上の品質があっても不便は無いので。しかし、品質とは常にコストと表裏一体の存在です。そのため、高い品質を得ようとする場合、それなりのコストが生じます。そして、間違った部分に対して注ぎ込まれたコストは、最終的に利用者が負担することになります。そのため、最良な品質の商品は、利用者に対して「無駄なコストを支払う」という不便を与えます。そのため、賢明な利用者が求める商品は、最高の品質の商品ではなく、最善の品質の商品です。もちろん、利益度外視で間違った観点の品質を求めることは、しばしば有るかもしれませんが。

ゲームにはゲームに適した音楽が求められます。

それが、ゲームの音楽にとって必要な品質を追求する上での観点となります。
なお、コスト=お金と思っている方も居るかもしれませんが、「時は金なり」という諺があるように、時間=お金なので、コスト=時間でもあります。音声品質が高いほど、CPU演算の量が増えるため、無駄に「CPU時間」を喰うことになります。これも一種のコストです。上記に示した音声品質は、コストを勘案した上で、私がベストだと考えたゲーム音楽の音声品質です。

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